いつか博士になる人へ

あるポスドク研究員の思い出

キャンパスを駆け抜けた夕暮れと研究発表の極意

こんばんは、森野キートスです。

台風の季節、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

僕は最近画期的なチャーハンの研究を発表しました。

 

 

これでぼくがきょうじゅになる日もちかいとおもわれますまる

 

さて、今日は前回のつづきということで、僕が大学院生になりたての頃、なんとか博士課程に進むお金をいただいたときのことを書こうと思います。

 

「できれば大学でもう少し研究したいけど、お金がないからあきらめるわ」

そんなひとの役に少しでも立てばいいなと。

 

前回は僕が応募したプログラムの概要と、応募書類を作成したところまで書きました。

 

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それではそのあとの話から。

今日もよろしくおねがいします。

 

とある教授室のチキンレース

書類提出のしめきり当日、僕は焦っていた。

提出先の事務が閉まるのは午後6時。

今は午後5時35分だ。

 

研究計画書はすでに完成していた。

休日を返上し、プライドやらなにやら大切なものを失いながら書き上げた僕の魂の力作は左手に抱えたカバンの中に入っていた。

ではなぜ僕はさっさとそれを提出しに行かず、さっきからこの居心地がいいとは言えない指導教員の部屋でつっ立って苦笑いを浮かべながらひたすら相づちをうっているのだろうか?

理由は一つ。

先生が僕のために書いてくれた推薦書だ。

それはまだ先生の小脇に抱えられている。

僕はなんとか早くそれを受け取って事務に提出に行きたい。

それなのに先生はさっきから研究の話を僕にずっとしているのだ。

 

正直全然頭にはいらねぇ。

 

ここから事務までどうがんばっても15分はかかる。

時計はもう5時40分をさしていた。

もう限界だ。

 

ぼく「…先生すみません、そろそろ時間が」

先生「あ、そう?じゃあコレ」

ぼく「ありがとうございます。それでは提出してきます」

先生「うん、まぁ気をつけて…あ、そうだ。それとね、あのデータなんだけど…」

ぼく(マァジか!?まだしゃべんのかよ!正気か?)

ぼく「あ、はい、その件は後ほど…」

先生「いやまぁささいなことなんだけど…」

 

(5分経過)

 

ぼく「わかりましたぁ!失礼します!(バタン)」

 

僕は走った。

夕暮れのキャンパスの中を。

人目もはばからず。

理由はお金が欲しいから。

 

僕はこんな人間になりたかったのかなぁ?

あれっ、なんだろう?景色がにじむや。

 

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僕が事務室から出ると、すぐに入り口のブラインドが下げられた。

なんとか間に合った。

このことから得られる教訓は、大学の先生というのは研究の話になると常軌を逸しやすいから気をつけろ、ということだろうか。

 

実際、先生の判断一つで卒業できないという話はざらにある。

研究室を決めるときは、先生に会ってみることと、そこの院生の話を聞くことが重要なのは間違いない。

(ちなみに僕はこのときの先生のことは大好きですし、尊敬してますし、感謝もしていまして、なんら含むところはないということを書いておきたい。先生話長いけど)

 

 

研究の面接は受けるまでが9割

応募書類を提出してから3週間ほどたって、事務局からメールが届いた。

 

 もらったメールはこんな感じ↓

森野キートス 様
          リーディング大学院プログラム
          コーディネーター 安室 透

   書類選考結果(面接選考)のお知らせ

 書類選考の結果、下記の通り、面接による選考を行うこととなりましたのでお知らせします。
          記

 日時:平成〇〇年9月9日
    17時30分から 

 場所:六本木キャンパス 工学部1号館35階8号室
    [控室:同 9号室)]

 発表について:
 (1)PPTでの発表5分、質疑応答10分の計15分。
 (2)ノートパソコンを持参すること。
 (3)研究計画と採用後の抱負/ビジョンについて異分野の審査委員がいることを前提に発表すること。

(安室さんは好きです)

 

 

イィィヨッシャァァアアアア!!!!

1Kの部屋の中を飛び跳ねてよろこんだ(人生二回目)。

 

 正直面接まで行けるかどうかが一番問題だと思ってた。

書類審査に比べて面接審査は時間的にそれほど多くの候補者を見れるわけじゃない。

採用枠が45人で一人15分、交代の時間を3分だとすると18分×45人で810分(13.5時間!)。

二日で2グループに分けて面接するとしても、先生がたは約3時間半×二日の間拘束されることになる。

合格者の面接だけでもこれだけかかるから、面接で落ちる人数はそれほど多くない。

おそらく倍率は二倍もないだろう。

こんなふうにだいたいの成功確率を見積もることが効率よく人生を生きる上で重要かもしれないとか思っている。

 

それに実はプレゼンには自信があった。

なぜなら卒業研究発表の時に当時の指導教官から研究発表のイロハをたたきこまれたからだ。

それに僕はスティーブ・ジョブズが大好きだ。

部屋で一人iPhoneの発表講演をしたこともある(黒歴史)

  

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そして何より、研究発表は努力すれば伝わるからだ。

僕の研究計画が価値あることはすでに書類審査を通過したことで証明されている。

面接で確認されるのは、その研究計画を考えたのが間違いなく僕であり、これからそれを遂行する能力がありそうかということだ。

 

これを面接で示すには、発表の練習をすることが全てだと思う。

研究計画の説明をなんども繰り返す中で、いろんな疑問が頭に浮かんでくる。

「これまでの方法ではできなかったって言ってるけど、それは技術的な問題だっけ?それとも手法の構造的な問題だった?」

とか、

「この方法で解決できるって言ってるけど、本当にこれがベストって言えたっけ?他の方法をもう一度復習してみるか」

とか。

そんな疑問を一つ一つつぶしながら練習をくりかえすうちに自分の研究に関する知識が深まっていくし、同時にスライドやトークの完成度も上がっていく。

 

(スライドを作るときはこちらの解説がとても参考になります)

tsutawarudesign.com

 

5分の発表なら、最低100回は繰り返し練習すべきだ。

僕は200回やった。

僕の部屋の隣の住人は、きっとついに僕の気が狂ったと思っただろう。

いや、彼はきっと僕の研究を誰よりわかってくれたのかもしれない。

(ガチですいませんでした)

 

 

(つづきはこちら)

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