【寄稿】簡単に卒業できてしまう研究室

 

私は、最近流行りのAI・深層学習等の研究室に所属する情報系の大学院2年生です。

今は、2月中旬の修論提出・発表会に向けて、日々作業に追われています。

 

そんな私が学部4年生の時に、今の研究室に行こうと決めた理由は少し変わっていました。

私の教授は、『勉強だけじゃなくて、運動も遊びも必要だ!』という考えの方です。

 

当時、私は『その通りだ!勉強だけではつまらない。

スポーツも遊びも両立させたい!』と思い、今の研究室に入りました。

 

しかし、思っていた研究室と少し違いました。

 

私の研究室のコアタイムは、平日9時から17時です。

これは一般的?だと思います。

 

おかしな点といえば、毎週火、木曜日は昼休みにバスケ、毎日13時からは筋トレ(たまに2時間半ほど)があります。(自由参加とは言うものの、先輩の圧力もありほぼ強制でした)

それが終わると、皆、疲れの余り寝てしまうことも多々あります。

 

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*森野の勝手なイメージです。

 

更に、僕が入った当時の先輩達は、あまり研究には興味がなく、就活も終わったし卒業できればいいやという方々がたくさんおられました。

私は全くその先輩達が嫌いなわけではなく、プライベートで遊ぶのはすごく楽しくて大好きでした。

 

しかし、意識高い系な僕は、研究室内での環境に少し苛立ちを感じていました。

他の研究室の話を聞けば、国際会議に出たり、論文を投稿したり等と実績残ることを次々にやっていました。

それに比べ、私の研究室は、年に一度の地方の学会発表に出るだけで卒業できてしまいます。

 

このままじゃ駄目だと自分1人で、本やネットで調べて勉強する日々でした。

過去の先輩の論文を知識がない状態から解読するのは、とてもしんどくて辛いものでした。

こんな時に、丁寧に教えてくれる先輩がいたらなぁといつも思っていました。

 

自分なりに卒業研究をして無事に学部は卒業し、大学院に入学しました。

研究室は学部時代と同じままです。

 

大学院に入学してすぐ、とうとう私にも就活の時期が訪れました。

就活サイトで見つけた興味のある企業にESを提出し、面接を受け、見事、研究開発インターンシップに行くことになりました。

 

ところが、そこで会った他大学の学生に圧倒されてしまいました。

知識、プログラムスキル、実績、全てにおいて敵いませんでした。

環境のせいにはしたくなかったけど、まぁ当たり前かと納得してしまいました。

インターンで知り合った方達によると、彼らの研究室には、先輩からの研究資料やツール、プレゼンの資料など色々継がれている情報がたくさんあるようです。

 

私は、すごく羨ましかった。

 

自分1人で勉強して、調べて分かったことはたくさんあるけど、過去から継がれてきた素晴らしい遺産には敵わない。

私が何ヶ月もかかって理解したことが、その遺産をサッと見るだけで分かるのだから。。

 

でも、インターンに行って分かったことがある。

 

それは、『自分の研究室だけに閉じこもらないこと』

 

今や、インターネットで東大の研究室のサイトや、海外の有名研究室のサイトも見ることができて、更に彼らは情報をシェアしてくれている。

他の研究室の先生や、学科の異なる研究室にも似たような分野を研究している研究室はたくさんある!

単位を取り終わっていても、面白そうな授業があれば受けてみる! など。

 

是非、視野を広げて足掻いてほしい。 

もし私が大学4年生の時に戻れるなら、そうやって当時の環境を変えると思う。

 

こんな私の経験が誰かに届けば良いと思います。

読んで頂きありがとうございました。

 

 

【寄稿】脳筋ラボラトリーさん

 

 * * *

 

――森野の感想

 

読んでいて、いろんな光景が次々と浮かんできました。

 

疲れて研究室で寝てるところ(筋トレ2時間半はやばい)。

先輩の論文を一生懸命読んでるところ。

インターンで打ちのめされてるところ。

 

今、良い映画を観た後のような感じがしています。

 

 

「丁寧に教えてくれる先輩がいたらなぁといつも思っていました」

 

この言葉にはとても共感します。

私もそう思ったことがありました。

 

「先輩なんていてもいなくても同じだ」と言われたことがあります。

先輩に教えてもらえるのはほんの最初だけで、その後は全部自分で考えないといけない。

先輩がいなければ、そのぶん早く自分で考える訓練ができる。

最初にがんばるか、後でがんばるかの違いしかない、という考えです。

 

そんなものか、と当時私は思いました。

私を励ますために言ってくれたのかもしれません。

 

でも本当は違いますよね。

最初が一番しんどい。

ペダルをこぎだす時に、背中を押してくれる先輩がいる方が絶対良い。

 

「是非、視野を広げて足掻いてほしい」

 

具体的な例と一緒におっしゃったこの言葉は、きっと誰かの背中を押すと思います。

 

 

こんなにきれいな文章は、書くのにかなりの労力がかかったと思います。

修士2年の1月に。

想像すると胸にこみ上げてくるものがあります。

 

ご寄稿本当にありがとうございました。

修論応援しています。