「瞬間説得 その気にさせる究極の方法」ケヴィン・ダットン
を読みました。
いそがしい人のために、この本の内容をざっくり言うと、
- 生まれつき説得がうまい人もいるし、また説得されやすい人もいる。
- 人を説得することは手品と似た訓練できる技能だ。
- 人間の生理を利用した、説得に効果的なパターンがある。
ということである。かなり納得できる内容と思う。
それでは以下、本の内容を私の独断と偏見によって抜粋し、私見をふんだんに取り入れた、キートス・ハイライト*をお送りしたい。
*血気盛んな男性を想定読者としています。過激な表現が含まれます。
1.人を説得するってつまり人をあやつること
なんかヤベェやつだと思われそうなタイトルになったな。
まぁとりあえず例を一つあげよう。
人でごった返す駅の改札付近に、小倉優香さんの広告をバァーンと貼ったとする。
かわいい
すると人同士がぶつかる確率が増えるのだ。(注:小倉優香さんは美女の例です)
これがどう説得とつながるのか?
小倉優香さんのセクシーな写真を使うことで、広告業者はまんまと駅の人々の注意をその広告に向けさせた。
これで小倉優香さんの写真集を買う人間はずっと増えることになるのだ。
「そんなのあたりまえじゃん┐(´д`)┌ヤレヤレ」と思うならこう考えてほしい。
もし代わりにそこに「小倉優香の写真集本日発売!」と書かれた垂れ幕が貼ってあったとしたら、いったいどれだけの人がその広告を見るだろうか?
そう、ほとんどの人は見ない。
つまりはそうゆうことだ。
広告主は小倉優香さんのセクシー写真によって、人々の性欲を刺激し、その広告を見るように説得したのである。
さらにもうひとつ、もっと実際によく使われているような例をあげよう。
名づけてステルスセクシーだ。(ネーミングは思いつき)
この本によると、「SEX」の文字が雑誌の表紙に書かれてあれば雑誌の売上がはね上がるとの研究結果があるそうだ。
そしてこれが本題なのだが、なんとSとEとXが連続してるだけでもいいらしい。
つまり「Venus extra shampoo」とかでも人間の脳は反応して「えっ、何このシャンプー…なんだかドキドキする…」みたいに、その商品に興味をひかれるということだ。
無意識に性欲を刺激され興味をひかれるなんて…なにそれコワイ。
いよいよ説得の秘技みたいな話になってきた。
次はあなたの生活に役立つ説得術について紹介していく。
2.恋の説得
「人を説得する」と言えば、いやここはあえてセクシーに言おう…「人を口説く」と言えば、どんなイメージを持つだろうか?
バーとか雰囲気のいい場所でわりと時間をかけてゆっくりとその気にさせる、みたいなイメージだろうか?
だが驚くなかれ、この本によると実際に説得に必要な時間は一瞬だという。(この本のタイトルは瞬間説得)
つまり人の脳はまずある物事を信じる。
そしてそのあと理由を考え、納得するという流れで説得は行われるということである。
人は見た目が9割と言うが、第一印象がとても大事なのもこれに通じるものがあるだろう。
実際人間は言葉だけで物事を判断するわけではない。
視覚情報や嗅覚情報、あるいは触覚情報などを総合的に判断して物事を決める。
そしてその判断が実は一瞬で行われるいうのも、かつて人類が猛獣などの危険とともに暮らしていたことを考えるとすごく自然だ。
その判断が遅かった人間は命を落としてしまっただろう。
つまり人を口説くのに必要なのは長々としたセリフではなく、場所・時間・雰囲気・服装・表情といった、その瞬間の総合的情報の方がはるかに大事だということである。
ひとつ具体的な例をあげよう。
この本では「〜だから」というだけで説得できる確率が上がるという実験結果が報告されている。
つまりこうゆうことだ。
「僕とデートしてくれませんか?」と聞くよりも、「あなたとデートしたいから、僕とデートしてくれませんか?」と言えば、OKされる可能性が上がるということである。理由の内容ではなく、理由がありそうな雰囲気が重要なのがわかっていただけただろうか。
3.愛の説得
突然だが、赤ちゃんはかわいい。
これは我々の共通認識だ。
そのことについてなんら疑問はないであろう。
そのかわいい赤ちゃんだが、この本によると説得の達人だということだ。
赤ちゃんは自分では何もできない。
それゆえにまわりの大人たちを意のままにコントロールして自分の世話をすべてさせないといけない。
世の赤ん坊はみなそれを軽々とやってのける。
そう、赤ちゃんは、いやかつての我々はみな、説得の達人であったのだ(!)
ところで我々は大人になり子供を作ると、この説得の達人を家族に迎え入れることになる。
そしてほとんどの常識ある善良な大人は、この圧倒的説得力の前にひれ伏し、慈愛に満ちた奴隷と化すのである。
私はここであえて問いたい…それは果たして愛なのか?
話をもどすと、なぜ赤ちゃんはそれほどの説得力を持つのだろうか?
著者によると、赤ちゃんの無力さこそが我々を説得するという。
つまり無防備で反撃できない人間に対して、人は優しくなるということだ。
実際、立っている相手に対して、こちらは椅子に座ることで目線を下げ、さらに自分の手を太ももの下にいれるという圧倒的無防備な体勢()で話をすると、相手は説得されやすいという例が紹介されている。(まじかよ)
余談だが、愛というテーマに関連して、人は家族などの集団で買い物に行くと余計にお金を使うという実験結果があるらしい。
私にも身に覚えがある。
集団極性化といって、集団になると行動がより極端になる法則があるようだ。
結婚して家族を持つときはぜひ慎重に、自分の幸せというものを大切にしたいものである。
4. 影響力と説得
A「若いうちは何事もリスクを恐れずに大胆に挑戦すべきだ」
B「若いうちは何事も三振を恐れずにホームランを狙っていくべきだ」
この2つの言葉のどちらにより共感を覚えただろうか?
本によると、ある種の人たちはBの方により強い共感を覚えたようだ。
その人たちとは、スポーツをやっている人たちだ。
それ以外の、スポーツをやってない人たちは逆にBの言葉には興味を持たなかったり、あるいはそのわかりにくい例えに怒りすら覚える人もいたようだ。
このことから、共感は強い影響力を持つということ。
そして同時にそれは共感しない人たちから反感を買う諸刃の剣であるということがわかる。
どこかで聞いたような話ではないだろうか?
そう今日のインフルエンサーと呼ばれる人たちは膨大なフォロワー(共感者)を抱える一方で、多くの誹謗中傷(非共感者から)を受けている。
強い影響力とは諸刃の剣なのだ。
あなたはそれでも影響力がほしいか?
ぼくはほしい、ちょーほしい、しょうにんよっきゅうのかたまりー !
5. 自分自身を説得する
人は成長するにつれ、いろんな価値観に染まっていく。
男であること、大人であること、社会人であること、親であること…
そういった価値観は、ときに我々の行動を縛る。
「大人だから遊んでばかりいられない」とか、「社会人だからまわりに迷惑かけないように嫌なこともがまんしないといけない」とか。
そしてときどき僕達は自分の夢をあきらめる。
本当はやりたいこと、やったほうがいいことができない。
そんなとき、自分自身を相手に説得する方法を知ってると、自分をコントロールする大きな力になる。
この本の例を一つ紹介しよう。
アメリカの学校では、黒人のテストの平均点は白人よりも明らかに低かった。
しかし黒人のバラク・オバマが大統領になった後、黒人のテストの平均点は上がったのである。これは一体どういうことか?
もともと黒人の学習能力がすごく低いというわけではなかったのだ。
黒人は劣っているというアメリカでの人種差別が、黒人に劣等感を抱かせ、それが実際にテストの点に現れたのである。
文化や風習、つまりはまわりの環境が人の能力を強く制限することがよくわかる。
しかしオバマ大統領の「Yes, we can」に説得され、黒人達は劣等感の檻から開放された。
だから我々も「自分はできる」と強く信じることができれば、本来の能力を発揮できるようになる可能性が高い。
最後に、説得のカギとなる5つの重要な要素を紹介しよう。
- 単純性(Simplicity)
- 私的利益感(Perceived self-interest)
- 意外性(Incongruity)
- 自信(Confidence)
- 共感(Empathy)
頭文字をつなげてSPICEだ。
え、よくわからん?
そうだな、とりあえず何か簡単なことで自分を驚かしてみてはどうだろうか。
こった料理を作るとか、行き先を決めずに電車に乗ってみるとか。
「俺ってこんなことできるんだ」って思う感じ。
その感じが人を説得するときにも助けになると思う。
きっとやればできる。